はじめに
定年退職後、平均寿命を考えると、死ぬまで20~30年もある。『坂の上の雲』の時代に比べて、人生が圧倒的に延びました。待ち構えているのは、実は「雲」でなく、次の新たな「坂」でないのか。
本書は、「坂の上の坂」を意識し、上り調子に坂を上り、これからの時代にふさわしい人生を楽しむためには何を準備しておけばいいのか。のために生まれました。
序章 人生のエネルギーカーブに気をつけよ
何かを20年もやれば、それは相当なレベルのものになります。一流だって目指せるかもしれない。そのために、早めにひとつ目の山としっかり対峙しておく必要があります。
ここで軸足を変えて、新たな希望や可能性へと繋がっていくのです。
予防線を張るのでなく、希望を獲得するための提案です。
第1章 世の中を信じる
1 無謀なことをやろうとするほど、人は応援してくれる
大義があれば、できるだけ無謀なことをやってみる。その戦いが無謀であればあるほど、応援してくれる人が現れるものなのです。
2 リスクを小さくする方法は、自ら生み出せばいい
「フェロー」とは、会社と対等の契約を結び、「客員社員」とも訳され、社会的身分は自営業者となります。
権力や保証はありませんが、かわりに時間的な拘束から解き放たれます。
3 自分の時間と、自分の仕事を取り戻す
「SSK」接待、査定、会議
e.g.自分の本当の能力を磨く時間をSSKに奪われる。
できる人が出世してSSK比率が高まっていくと、本来の仕事をする時間がどんどん減ってきます。
出世できた、偉くなれた、とSSKにどっぷり漬かっているうちに、取り返しのつかないことになります。
4 組織の本質というものを、そろそろ知っておく
『ピーターの法則』とは、あらゆる組織は無能化する、という一般原則であり、階層組織が「昇進」をインセンティブにして社員の動機付けを行う限り、全てに当てはまる。
「パーキンソンの法則」とは、あらゆる組織は肥大化する、ということです。
e.g.仕事ができる人→人を雇い、組織は大きくなる
仕事ができない人→自分ができないので、人を増やそうとする。
5 あえて危機を演出することが、自分を成長させる
「入射角反射角の法則」大きく凹むと跳ね返りもそれだけ大きくなる。
「クリティカル・シンキング」人の言うことを簡単に信じてはいけない、もっと疑え。
第2章 幸せは自分の中にある
6 ときには、逃げてみる
「成熟社会」とは、個々人が多様な価値観をもち、それぞれの生き方を追い求める社会です。
7 自分なりの「豊かさ」を定義する
「成熟社会の本質」
昨日の繰り返しを続けない。ゆとりある時間の中で生まれる楽しみ。”義務感へのアンチテーゼ”時間をとって行動に余裕をもては、人は胸いっぱいに人生を呼吸出来ます。
日常の些細な事象の中にこそ幸せの本質がある。
8 テレビをリビングから追放しよう
テレビがなくなれば、家族との会話も増え、食事も楽しくなりますよ。
9 「孤独」を癒せるツールを見つける
成熟社会に流れる基本認識は、絶対的に孤独な人間観が深く横たわっており、「いかに分かり合えない者同士が、ともに幸せに生きていくことができるか」という方法を常に日常の中で模索している。
10 なんとなく心地良いもの、に安易に流されない
ついつい耳障りのいいものや、安易な救いに引き寄せられないように、十分に注意をして向き合うことが大切です。
11 自分を不幸にしているものに気づく
どうしたら日本人は真に豊かになれるのか?
住宅、介護を中心とした医療、教育、そして組織の壁を越えて個人と個人を柔らかくつなぐネットワーク。
第3章 “いい子”は、もうやめる
12 ”いい子”だったことを、認識する
「いい子」世代=「坂の上の坂」世代
13 ”頑張る教”はもうやめる
日本人は「現世御利益」を求めてしまう。そして、現世御利益の教義は「頑張る教」「いい子」教でした。
14 ”いい子”を降りると、手に入るものがある
“いい子”を降りると、それまで見えていなかった多様な価値観の存在に気づきます。
15 身体のシグナルは価値観の転換期と知る
私はメニエルによって目覚めさせられました。
16正解のない時代になっていることに気づく
組織の一員として身を粉にして働くことで、実は組織の外ではどんどん通用しない人間になってしまう。
もはや個人はそれぞれの価値観で、独自の幸せを追求していかないといけない。
17 修正主義で、まずは一歩踏み出し、前に進む
ただ、一歩前へ踏み出すこと。失敗したら、修正すればいい。それこそが「納得感」に近づく最短距離なのです。
第4章 会社を利用し尽くす
18 組織に棚卸しされる前に、自分の棚卸しを
「報酬マトリックス」
上 権力志向
時代に プロ志向
右 報酬
左 価値
「経済的な報酬」から「経済的でない価値」へシフト。
19 優先順位をはっきりと意識する
「経済的ではない価値」を10個以上挙げる→ベスト3に絞る
自分のウリは何なのか。これからどうしたいのか。
一番危ないのは、会社のなすがままにされること、誰かの価値観に振り回されること。
20 組織内自営業者になる
組織の中に居ながらして、自営業者のような存在になるためにはどうすればいいのか、を意識しましょう。
21 企業と自分の理念の接点を見極める
重要なのは、会社や組織のビジョンや戦略を理解すること。そこから、自分のやりたいこととのマッチングを模索する。
22 リスクヘッジと大胆なチャレンジは両立する
将来的に57歳でも67歳でも、過去の実績を捨てるほどの「無謀」を冒すことが、むしろ「坂の上の坂」を乗り越えていく原動力につながる。
チャレンジを繰り返していけば、坂の上の、いくつかめの坂の頂きでこと切れることも夢ではない。
23 生きた証は会社ではなく、家族に記憶される
もし自分粉生きた証を望んでいるとするなら、むしろ大事にしないといけないのは、家族を含めたコミュニティです。
24 外国人にも理解出来るよう、履歴書を書いてみる
「そのとき、私は何をしたのか」を書くのが欧米流です。
25 自分で本を出し、講演できるスキルを身につける
売れているかどうかよりも、本を出したことそのものが、大きな意味を持ちます。
第5章 消費の作法
26 海外のブランド物より、日本の文化と技術
「どうしてカズは、フランスのブランド時計をしているんだい?日本にはあれだけ世界中がリスペクトしているのに」
27 ”業界の常識”に惑わされない
星野さんがパーティでスーツを着てくると「お前、日本人だろ。イギリスの文化に憧れでもあるのか?」
28 世界からコストを押しつけられていると知る
投資する側の視点に立てば気づくことも出てきて、洗練された消費者に近づくのではないか。
e.g.ブランドが好きであれば、株を買って、送り出す側に回る。
29 不動産は「投資家目線」で買う
新築マンションは、買った瞬間に「価格に転嫁された間接費分」の値段が落ちる。
30 投じるのは「資本」ではなく「気持ち」
投資の本質は「資本を投じる」のではなく、「気持ちをこめる」ということ。
「自分の思い」を加えることによって、無価値なものに価値を与えられる。
自分が価値を与えて、新しいソフトを創出する。
失敗談は、後から語れば、必ず周囲を喜ばせる抜群の話題になります。
31 愛情ある投資が、ものの価値を育てる
何を育てるか、どこを育てるか。ひとりひとりの思い入れが問われる時代がまた、やってきている。
32 タダでやっておいた方がいい仕事がある
お金をもらわない仕事も、実は投資のうちである。
第6章 コミュニティをシフトする
33 会社以外のコミュニティを早めに探しておく
多くの人は、会社以外に帰属するコミュニティはほとんど無い、というリアリティが欠けている。
34 まずは、名刺を出さない練習から
名刺を出さず、自分がどんなキャラクターなのか、どう伝えれば相手に伝わりやすいのかを考え、実践するのです。
35 相手と自分との間にリンクを張る
プレゼンとは、相手の脳に好ましいイメージを残すことです。
相手の話に耳を傾け、相手の世界観や価値観を確認します。
優れた営業マンというのは、相手から話を引き出し、自分と相手の間にリンクを張りながら情報提供していくのが上手い人です。
36 印象を残すには、あえてマイナスの話をする
マイナスの話は、ユーモアの空気が流れる。
37 得意分野の力を発揮出来るコミュニティを選ぶ
比較的入りやすく、居場所も見つけやすいコミュニティ
マンション管理組合
学校に関わるコミュニティ
38 学校を支援することで、若返る
人生の後半を豊かにするために公立小中学校の「地域本部」というコミュニティに加わる作戦。
第7章 パートナーと向き合う
39 「二人主義」の準備を、早めに始める
欧米人にとって、どんなコミュニティに属しているか、は信頼に足る人物かどうかを測る上での関心ごとであり、信頼度チェックの重要項目になっている。
夫婦二人で行動するは、処世の知恵である。
40 奥さんのことはわかっていない、と認識する
奥さんは子育ての日々の戦いで、徹底的に鍛えられています。
41 女性にもり立てられて、男は強くなる
お父さんに対するリスペクトは、もり立ててもらわないと育まれにくいのです。
だから、お母さんからのプレゼンが欠かせない。
42 夫婦で、地元のいいお店探しをする
アイデア1
子育て後半期に陥りやすい夫婦の会話の減少が、ペットによって救われます。次の夫婦の関係をしっかり構築するまでの時間稼ぎになる。
アイデア2
行きつけの店を夫婦で開拓すること。
43 男っぽい発想の仕事に夫婦で取り組んでみる
アイデア3
夫婦で学校でのボランティアに参加。
アイデア4
男っぽい発想のものに、妻を巻き込むこと。
第8章 死とお金を考える
44 死ぬということについて真剣に考えてみる
これから「坂の上の坂」に向かう上で、「死と向き合う」ことは避けては通れない課題です。
45 惰性で払っていた生命保険を解約する
子どもが独立した後は二人家族に戻るので、今の間取りで良いのかを再考する。
46 金利のかからない借金に切り替える
通常、金利が5%になると、30年ローンで元金の2倍を支払うことになるといわれている。
47 「クルマ」という幻想を見直す
クルマは、思った以上に維持費もかかるし、駐車場代もバカにならない。
48 不安材料を書き出して「可視化」する
自分の家族の「損益分岐点」を知っておく。希望的観測とは反対の不安材料も、きちんと紙に書き出して「可視化」すること。
第9条 本当に必要な備えをする
49 いざというときの”疎開先”を見つけておく
家族や親とお高いに連絡取れなかった場合にどうするか?
万が一、妻子を預けられる場所。
50 第二の故郷作りは、土地に根づくことから
疎開先の創造は、何かお役に立てないか、貢献は出来ないか、お金でなければ知恵や技術や肉体労働ではどうか。その思いや行動が重要です。
51 貢献することが、自力につながる
東日本大震災の復興を、教育の再生に、全国の街づくりに生かさないといけない。
52 インターネット上にも居場所を作る
ネットの世界にも居場所を作っておけば、ひとつのコミュニティになりうる。
53 生ツイッター、生フェイスブックのすすめ
「生ツイッター」あなたが直接周囲に働きかける。
「生フェイスブック」質問を連発し相手と自分との共通点を探り出す。
54 身体を動かし体の資産づくりをする
早く始めておくことが、長く続けられる秘訣ではないか。
どんなスポーツでも、楽しめるようになるまでには5年から10年かかるでしょう。
おわりに
55 「坂の上の坂」世代の大事な役割、孫育て
必要なことは「会社」でなく「社会」へ、さらには「家族との人生」へと意識をシフトすることです。
私たちの後輩は、必死で現実と戦っています。e.g.受験戦争、バブル後の営業、海外進出の荒波など
新しい”じいじ””ばあば”像を作る。
新しい時代に立ち向かえる「教育(脱「正解主義」の教育」でお返しするしかない。